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映画作りと青春とハサミ少女の夏。せっかく温まってきたのに最終巻とは…-『夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム』

『夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム』

佐島佑/2015年/291ページ

道郎の通う帝陽美術大学の上空に突如、カラスの大群が現れた。教室で映画撮影の稽古をしていた道郎は、ホラー映画から飛び出してきた謎の少女・カルミンとともに解決に乗り出すが、予想外の事実に行き当たり…。カルミンと出会って以来、死者が見えるようになってしまった道郎。死者たちが巻き起こす不思議な事件を解き明かしながら、道郎たちは映画を完成させることができるのか?青春ホラーミステリ、シリーズ第2弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 キャラの顔見せが中心だった前巻と比べると、「サスペンス映画の撮影」という軸のおかげでエピソードの充実感がある。第五話「タナトスの困惑」はこのシリーズで唯一ホラーらしい話となっており、ラストではカルミンの出演していた映画も見つかって、ようやくカルミン自身の謎に近づけそうな感じ…かと思いきや、この巻で打ち切られてしまっている。キャラやエピソードに深みが出てきたな、と思っていただけに残念。レギュラー陣、なんだかんだで好感の持てるいい連中ばかりなんですよ。

 余談だが、本作で幻のホラー映画として取り上げられている『シェラ・デ・コブレの幽霊』、AmazonPrimeで観られるようになったときはちょっと話題になりました。

★★★(3.0)

 

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