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大ボリュームの実話怪談100編。理解不能のヘンな話多めで呆気に取られる-『怪談実話 黒い百物語』

『怪談実話 黒い百物語』

福澤徹三/2013年/368ページ

怪談実話の名手、福澤徹三が怪談専門誌『幽』連載で5年間にわたって蒐集した全100話。平凡な日常に潜む怪異を静謐な文章がリアルに描きだす。玄関のチャイムが鳴るたびに恐怖が訪れる「食卓」。深夜、寺の門前にいた仔犬の正体に戦慄する「仔犬」。市営住宅に漂う異臭が恐るべき結末に発展する「黒いひと」。1話また1話とページをめくるたびに背筋が寒くなる「読む百物語」。

(「BOOK」データベースより)

 

 作者自身がそれなりに前に出てきており、エッセイ的な雰囲気が強い怪談実話集。うるさいほどではない、絶妙な顔出し加減のおかげでリアリティが高まっている。怨念話や因縁話ではなく、理解不能な話や奇妙な話の含有率が高めな(気がする)のも特徴で、「第六十六話 蝉」はその最たるもの。キツネにつままれたような蝉の話。なんなんだコレは。正体不明なのに怖すぎる「第五十三話 仔犬」、幽霊譚なのかなんなのか読んでてモヤモヤがつのる「第八十三話 既視感」もそのたぐい。超常現象はいっさい起きていないものの、「なぜそんな行動をとったのか」が理解不能過ぎる「第三十七話 デリヘルの客」はまた違った怖さのテイスト。

★★★(3.0)

 

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