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全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

夜までに家に帰れなければ死ぬ! という設定自体がガバガバ。ツッコミどころが多すぎて集中できない-『夜までに帰宅』

『夜までに帰宅』

二宮敦人/2012年/256ページ

エネルギー戦略の失敗から、日本では19年前に「夜」制度が導入された。節電のため夜間は電力の供給が完全に途絶え、外出は禁止。通信・警察・医療機関も全停止する。親に内緒で、冒険気分で「夜」の吉祥寺に出た高校生・アキラと仲間たち。だが彼らは知らなかった。「夜」には「何か」が目を覚ますことを―。1人、また1人と仲間たちが消えていく。彼らはこの恐怖の一夜を生きのびられるのか。新世代サバイバル・ホラーの決定版。

(「BOOK」データベースより)

 

 ストーリーの前提部分、根幹となる世界観にいくらなんでもリアリティがなさ過ぎて、ツッコミどころが頻出するため集中して読んでいられない。乾電池が1本5000円もするほどエネルギーに困窮しているのにカラオケやゲーセンは営業してるのか? とか、そんな状況で暇つぶしに暗視スコープを使う学生はどんだけ金持ちなんだよ! とか。敵は殺人サークルなのだが、獲物を始末したあとわざわざ血痕を洗い流したりしているのに、死体はバラバラにしたうえでその場に放置する。「最後にまとめて処理した方が楽だから」という理由らしいが、目撃者が1人でもいたら崩壊するようなサークルなのに(わざわざメンバー間では本名で呼び合い、大声で会話している)そんなヤバい橋を渡るわけないだろ。「夜」になるとすべてのインフラが停止するという舞台になんらかの寓意を読み取ることも不可能である。
 終盤の殺人サークルに交渉を持ちかける辺りや、ラストに黒幕が明らかになるシーン等はそれなりに面白かったのだが、トータルで見ればお粗末としか言いようがない。

★★(2.0)