角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

★★★

執念深きヘビのうらみ! ヘビ少女にヘビおばさんが美少女の首筋を這いまわる!-『こわい本1 蛇』

『こわい本1 蛇』 楳図かずお/2021年/320ページ 幸せに暮らしていた沼田家の姉妹を、突然の悲劇が襲った。姉が、手足が動かなくなる原因不明の病に倒れたのだ。献身的に看病する妹だったが、姉の奇怪な行動に不審を抱き、姉の正体は蛇で、自分を殺そうとし…

別れた恋人の日記には、死後もなお恨み言が書き綴られていた。正統派のオカルトミステリ-『かげろう日記』

『かげろう日記』 吉村達也/2003年/207ページ 人は、いったい何のために日記を書くのだろうか?大学時代の恋人・内藤茜を捨てた町田輝樹のもとに、差出人不明のノートが郵送されてきた。表紙には茜の筆跡で『かげろう日記』。だが茜は、輝樹にふられた十ヵ…

厭な相手に復讐でスッキリ、ド鬱話もあるが全体的には軽めのサイコホラー-『恨み忘れじ』

『恨み忘れじ』 松村比呂美/2009年/238ページ 理性で抑えようとしても、身体のどこかが疼くような感覚とともに深まっていく憎しみ―。飛行中に空と海との感覚がわからなくなる状態に陥った男を描く「バーティゴ」、亡くなった恩師の夫から送られてきた形見…

浮世と常世の境界で結ばれる友情。通算17巻に及ぶシリーズの大団円!-『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』

『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』 蒼月海里/2019年/208ページ 浮世と常世の境界にある不思議な町・華舞鬼町。住人のアヤカシたちは那由多の写真のおかげで浮世との繋がりを強く持っていた。貧乏神のクロ助は、富むものを衰退、劣化させてしま…

学校の怪談レベルを超えた惨劇! 憎悪の炎が生徒を、家を、村を焼き尽くす-『コックリさん』

『コックリさん』 イ・ジョンホ/2005年/319ページ 「コックリさん、コックリさん、おいでください…」夜の教室に響く静かな声。いじめに耐えかねた少女ユジンが霊に願ったのは、首謀者のこらしめ。しかし、その呼びかけに応えて現れたのは血も凍るほどの怨…

福の神になりたい貧乏神を相棒に、人助けで徳を積む新展開-『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』

『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』 蒼月海里/2019年/208ページ 異能を持つ祖父の形見のカメラは、過去の風景を写し那由多を華舞鬼町へと連れていってくれた。カメラが壊れてからは移動できずにいたが、姉のアドバイスで道祖神を祀る…

別離、邂逅、決戦、和解…最終巻っぽい展開盛りだくさんのイベント巻-『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』

『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』 蒼月海里/2019年/208ページ 「虚路は、人から忘れられそうになったら姿を現す」なぜなら忘れられるとその概念が消えてしまうから、と狭間堂から説明を受ける那由多。一方、浮世と華舞鬼町では拍…

シリーズ初? のガチホラー展開。生み出された怪談が人を襲う!-『華舞鬼町おばけ写真館 灯り無し蕎麦とさくさく最中』

『華舞鬼町おばけ写真館 灯り無し蕎麦とさくさく最中』 蒼月海里/2018年/208ページ 「地下鉄の終電で降りた駅の、改札を抜けた先にある蕎麦屋は江戸の怪談『本所七不思議』の“灯り無し蕎麦”だった」不気味な動画を偶然見てしまった那由多は狭間堂に報告す…

不可解と理不尽に満ちた過去最恐レベルの怪スポット“首吊り廃墟”を追え!-『新耳袋殴り込み 最恐伝説』

『新耳袋殴り込み 最恐伝説』 ギンティ小林/2015年/208ページ 心霊スポット取材チーム・殴り込みGメンが帰って来た! 大阪・通天閣のほど近くにある「首吊り廃墟」にギンティ小林と殴り込みGメンが、全3回の突撃取材を敢行する! 取材の度に起きる怪奇…

悪行妖怪vs本所七不思議。過去からの成長も著しい第3巻-『華舞鬼町おばけ写真館 送り提灯とほっこり人形焼』

『華舞鬼町おばけ写真館 送り提灯とほっこり人形焼』 蒼月海里/2018年/208ページ 異形が跋扈する不思議な街、華舞鬼町。町の総元締め狭間堂はお盆の最終日、水路でやる灯籠流しの準備を進めていた。常世を目指す魂たちの道案内になれば、という気遣いだっ…

実話怪談のスタイルをいち早く成立させたホラーエッセイ。豪華漫画家ゲスト陣も!-『ゆうれい談』

『ゆうれい談』 山岸涼子/2023年/240ページ 全部、本当にあった怖くて摩訶不思議な話。 漫画家にとって最大の敵は睡魔。山岸プロでの眠気ざましの話題は“ゆうれい談”。萩尾望都、大島弓子など著名漫画家たちの不思議体験談を始め、アシスタントさんが経験…

昼間は女医、夜はSM嬢。不条理にもがく女の生きざまを描いた官能サスペンス-『甘い鞭』

『甘い鞭』 大石圭/2009年/448ページ 高校1年生の時に隣家に棲む男に拉致監禁された奈緒子。1か月にわたって弄ばれ続けた彼女は、男を殺害し辛うじて地獄から生還した。凄絶なトラウマを抱えたまま成長し、現在は不妊治療専門の医師として活躍する奈緒子だ…

東京の名所を巡り、レトロな風景に想いを馳せるほのぼのアヤカシ奇譚-『華舞鬼町おばけ写真館 路面電車ともちもち塩大福』

『華舞鬼町おばけ写真館 路面電車ともちもち塩大福』 蒼月海里/2017年/208ページ 大学生の那由多は、祖父の形見のカメラに導かれるように、人外が跋扈する別世界『華舞鬼町』に迷い込み、狭間堂と名乗る青年と出会う。祖父のカメラには不思議な力があった…

過去を撮影するカメラで、東京に残る「人の想い」を写す。レトロで優しいアヤカシ譚-『華舞鬼町おばけ写真館 祖父のカメラとほかほかおにぎり』

『華舞鬼町おばけ写真館 祖父のカメラとほかほかおにぎり』 蒼月海里/2017年/240ページ 人見知りの激しい久遠寺那由多は大学をサボったある日、祖父の形見のインスタントカメラを、なんとカワウソに盗まれてしまう。仰天しつつビルの隙間へと追いかけるが…

語り手をも飲み込む“百物語”の怪異。劇中の怪談も愉しいホラーアンソロジー-『闇夜に怪を語れば』

『闇夜に怪を語れば 百物語ホラー傑作選』 東雅夫(編)/2005年/340ページ 月のない晩、一堂に会した人々が百筋の灯心に火をともし、怪異を語り合っては、一話ごとに灯心を一筋ずつ消してゆく。やがて百話満了した真闇のただなかで、必ずや怪しい出来事が起…

超カルトモキュメンタリーのノベライズ。補完として悪くないがラストは未視聴者置いてけぼり-『ノロイ 小林雅文の取材ノート』

『ノロイ 小林雅文の取材ノート』 林巧/2005年/211ページ 怪奇現象研究家の小林雅文が失踪した。彼はある村に伝わる、相手を呪い殺す儀式を追っていた。その呪いは現代にも息づいているという。本書は残された彼の取材ノートを元に書き起こした真実の恐怖…

統一感は無いもののクオリティは一定以上。短編欲は満たしてくれる一冊-『見知らぬ私』

『見知らぬ私』 綾辻行人、鎌田敏夫、鷺沢萠、篠田節子、清水義範、高橋克彦、松本侑子、森真沙子/1994年/230ページ 私は誰? まだ知らぬ私の扉が、ゆっくりと開かれていく…。人間にとってもっとも不思議な自分自身。その胸の奥底を揺さぶり、うち震わす、…

山の牧場、犬鳴峠、三本足のサリーちゃん…最恐都市伝説に体当たり取材!-『新耳袋殴り込み 第二夜』

『新耳袋殴り込み 第二夜』 ギンティ小林/2013年/341ページ 傑作実話怪談集『新耳袋』で語られた怪異の現場で霊を挑発、本当に“出る”か試してみようという恐るべき突撃ルポの第2弾。今回訪れるのは、火だるまになって殺された人の霊で有名な九州最恐スポッ…

呼べば死ぬ都市伝説「マチコさん」、ひとりでに歩く人形…。怪談の真相を霊能鑑識で暴け-『ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件』

『ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件』 中井拓志/2012年/312ページ 霊能少女・芙癸の脳機能データを鑑識に導入して捜査を行う、警察庁科警研心理三室。今回、心理三室の研究員・夕季が乗り出したのは、女子中学生が鏡を叩き割り、全身切り刻まれた…

目撃者を死に誘う霊、左腕が起こす殺人…。怪事件を霊能力と脳科学で解明!-『ゴースタイズ・ゲート 「イナイイナイの左腕」事件』

『ゴースタイズ・ゲート 「イナイイナイの左腕」事件』 中井拓志/2011年/318ページ 警察庁科警研心理三室。ここの目的は、霊能力者とその脳機能パターンを鑑識に導入すること。現場に煙たがられながらも今回、心理三室が投入されたのは、素手で頚部を抉ると…

序盤からモダンホラー展開フルスロットル。未解決部分をきっちり消化した理想的な続編-『魔女たちの長い眠り』

『魔女たちの長い眠り』 赤川次郎/1997年/293ページ 人間って、本当に馬鹿だわ。見当外れのことでわざわざ、私たちを駆り立てて…。人間が私たちに勝てるわけがないのに―。夜が降りてきた。暗がりが町を大きな翼で包みこむ。静かで平和に見える町の背後で起…

著者のホラー作品の中では随一の完成度。閉鎖的な町で起きる連続殺人の意外過ぎる真相-『魔女たちのたそがれ』

『魔女たちのたそがれ』 赤川次郎/1997年/305ページ 津田は小さな雑貨の卸売会社に勤める28歳の独身男性。今日は、15人の社員のうち5人が休みで、目のまわるような忙しさだ。奇妙な電話は、そのさなかに掛かってきた。「助けて…殺される」あの声は、幼なじ…

実話怪談の舞台となった最恐スポットを実録取材。おじさん達の悲鳴が響き渡る!-『新耳袋殴り込み 第一夜』

『新耳袋殴り込み 第一夜』 ギンティ小林/2013年/275ページ 実話怪談集の傑作『新耳袋』。そこで語られている話は真実なのか?謎の巨大施設がある「山の牧場」、自殺した女性の霊が出没する「幽霊マンション」、煙のように人が消える「天狗神社」など、絶対…

寝たきり、腐臭、隠された素顔…。介護させられているのはいったい何? 急転直下の伝奇ホラー -『屍介護』

『屍介護』 三浦晴海/2022年/320ページ この人はもう、死んでいるのでは――? 新人介護士が経験する恐怖の介護。 看護師から介護業界に転職した栗谷茜は、山奥の屋敷で、寝たきりの婦人をヘルパーとして住み込みで介護することになった。しかし、妃倭子とい…

「血の記憶」を辿り、教え子の死の真相を探る男。橋をわたればもう戻れない-『橋をわたる』

『橋をわたる』 伊島りすと/2003年/184ページ 時間給の高さに惹かれ、大学の夏休みの期間だけ、僕は塾講師のアルバイトをすることにした。担当する科目は小学校五年生の算数。文学部の僕にとって、彼らに算数を教えるのは至難の業だった。なんとか夏期講習…

30年前の事件とまったく同じ手口の猟奇殺人。果たして模倣犯か同一犯か…?-『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 内藤了/2018年/320ページ 鑑識官・三木と麗華の結婚式も束の間、比奈子らに事件に知らせが入った。心臓が刳り抜かれた2遺体が八王子の廃ビルで見つかったのだ。一昨日も日本橋で同様の3遺体が発見され、現場には血痕…

過去を捨てたインディアンの末裔が、人体損壊大好きな邪悪霊と対決-『トリックスター』

『トリックスター(上)』 ムリアル・グレイ/1996年/321ページ カナダの静かなスキーリゾートで残虐な連続殺人事件が起きた。死体はどれも心臓が肛門に、ペニスが口に押し込まれていた…。インディアンの血を引くサムは、白人社会で白人の妻と共に平和に暮…

超気まぐれヒロイン・黒井ミサの魅力。『エコエコアザラク』入門編+α-『魔女地獄』

『魔女地獄 ~古賀新一傑作集~』 古賀新一/1995年/407ページ 人間は所詮、運命には逆らえないもの…悪魔に魂を売った魔女黒井ミサのまわりで次々と起こる黒魔術の邪悪な事件。恐怖と不安に引きずり込むオカルト・ホラーコミックの傑作集。 (Amazon解説文よ…

「食と男と女」がテーマ。サラリと読める初心者向けホラーだが、えげつない一品も-『最後の晩餐』

『最後の晩餐』 新津きよみ/2014年/279ページ 以前生涯学習センターで男の料理講座の講師を務めた美由紀。帰りが遅くなった晩、真っ暗な夜道で講座の元受講生である年配の男に出逢う。ストーカー被害に怯える美由紀は、親切な申し出に甘えて自宅まで送って…

水怪が起こす連続死事件。生徒と教師が一丸となって怪異に対抗する青春ホラーミステリ-『水域 -転校生3-』

『水域(アクエリアス) -転校生3-』 森真沙子/1999年/301ページ かつて無数の死体が流れ着く異界の地であった下町・深川。歴史研究部に属し、深川に魅せられる咲子の周囲で、女生徒たちが次々に不可解な自殺を遂げる。事件を追う咲子は、送り主不明のCD‐ROM…