角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。

★★★

ショートショートの名手が送る、時には煽情的で時には抒情的な自選短編集-『自選恐怖小説集 心の旅路』

『自選恐怖小説集 心の旅路』 阿刀田高/1993年/320ページ 夢遊病? 記憶喪失? 奇妙な記憶に思い悩む私だが、原因として思い当たるのは以前食べたあの……!? 心の奥底からひたひたと怖さがつのってくる表題作ほか、軽妙洒脱な筆致で知られる著者が、全作品の…

「怪談の語り手」としての体験が活かされた実話怪談集。イヤさは折り紙付き-『怪談狩り 市朗百物語』

『怪談狩り 市朗百物語』 中山市朗/2016年/268ページ 「新耳袋」シリーズの著者・中山市朗が、現実世界の歪みから滲みだす恐怖と、拭いきれない違和感を狩り集める。モニターのノイズの中に映りこんだ拝む老女、六甲山を取材中にテレビのロケ隊が目撃した…

泥棒と老い先短い老婆がタッグを組んで家族に復讐! 毛色の変わったミステリ集-『ラストファミリー』

『ラストファミリー』 森村誠一/2002年/221ページ 八十歳に近い高齢で、死を待つだけになった老婆・横尾こう。こうには先に死んでしまった息子と娘の、嫁と夫に財産を残したくないという憎悪があった。こうの死の床に立ったのは、あろうことか死へのお迎え…

肉体ではなく意識に感染するウイルスの恐怖。よくあるバイオハザードものに一捻りのスパイス-『J-HORROR THEATER 感染』

『J-HORROR THEATER 感染』 塚橋一道/2004年/155ページ その病院は建物の老朽化に加え、経営危機から薬や備品が圧倒的に不足している状況が続いており、多くの患者が、生死の境をさまようことが日常と化していた。医師や看護師たちの精神と肉体も限界に達…

映画作りと青春とハサミ少女の夏。せっかく温まってきたのに最終巻とは…-『夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム』

『夏風モノクローム ハサミ少女と追想フィルム』 佐島佑/2015年/291ページ 道郎の通う帝陽美術大学の上空に突如、カラスの大群が現れた。教室で映画撮影の稽古をしていた道郎は、ホラー映画から飛び出してきた謎の少女・カルミンとともに解決に乗り出すが…

主人公が「ただの岩井志麻子」過ぎる官能ホラー。トロピカルに湿った妖気にむせる-『楽園』

『楽園(ラック・ヴィエン)』 岩井志麻子/2003年/141ページ 灼熱の夏が永遠に続く国ベトナム。ホーチミンを訪れた「私」は夏の国の男に出会う。彼は綺麗な南の地獄そのものだった―。名前も素性も知らぬまま、ただ享楽的なセックスに溺れるふたり。―床惚れ―…

予測をそこそこ裏切る展開とフリーダム過ぎる倫理観。お国柄の差を感じる怪談-『中国怪談』

『中国怪談』 話梅子/2009年/239ページ 山奥の庵に、ずいぶん前に死んだ友人が訪ねてきた。その晩、麓の村では、葬式前の遺体が消える事件が起きて…。今夜死ぬ、という占いが出た男。家族の寝ずの番も空しく命を落としたが、その死には意外な真相が…。本来…

ホラー小説で究極の美味、つったらアレを食べる話に決まってるじゃないですか-『究極の美味』

『究極の美味』 雁屋哲/1995年/234ページ 美食評論家斉田は自分が中国の皇帝として君臨する夢を度々みる。が、いつもそれは忠義の大臣が命懸けで用意した料理が運ばれ、食べる寸前でさめてしまう。そんなある日、斉田は晩餐会の席で、世界の超有名シェフの…

体中に爪が生える奇病にネイリストが立ち向かう! グロ描写はともかく主人公の掌返しが…-『デス・ネイル』

『デス・ネイル』 森山東/2006年/217ページ ネイリストを目指す奈々子はボランティアで老人ホームを訪れ、かつ江という老婦人の爪を美しくマニキュアした。数週間後、かつ江が亡くなったという知らせとともに、遺品の眼鏡が奈々子のもとに届けられる。奈々…

大ボリュームの実話怪談100編。理解不能のヘンな話多めで呆気に取られる-『怪談実話 黒い百物語』

『怪談実話 黒い百物語』 福澤徹三/2013年/368ページ 怪談実話の名手、福澤徹三が怪談専門誌『幽』連載で5年間にわたって蒐集した全100話。平凡な日常に潜む怪異を静謐な文章がリアルに描きだす。玄関のチャイムが鳴るたびに恐怖が訪れる「食卓」。深夜、…

キレイに終息し過ぎて落語感すら漂う、サクっと読めるエンタメ中編-『事故物件7日間監視リポート』

『事故物件7日間監視リポート』 岩城浩明/2020年/176ページ リサーチ会社を営む穂柄は、あるマンションの一室の住み込み調査を依頼される。そこは、7年前に妊婦が凄絶な自殺を遂げた事故物件で、事件後なぜか隣人たちも次々と退去し、現在はその階だけ無…

現在ではやや視聴困難なドラマ版の雰囲気をじゅうぶん味わえる、バラエティ豊かな怪獣ノベライズ-『ウルトラQ dark fantasy』

『ウルトラQ dark fantasy』 梅津裕一、岩佐まもる、長谷敏司、相坂きいろ/原作脚本:武井彩、上原正三、村井さだゆき、太田愛/2004年/265ページ 憧れのマイホームを手に入れた主婦・加代子だったが、街のいたるところに書かれた“らくがき”に悩まされてい…

「貞子と伽椰子が戦う」こと以外は映画完全無視! 最凶バトルのゴングが鳴り響く-『貞子VS伽椰子』

『貞子VS伽椰子』 黒史郎/監修・原案 白石晃士/2016年/188ページ ホラー映画の主演を依頼された劇団員の恵子。しかし、監督が不審死、恵子は居合わせたフリーライター・小堺と共に、現場にあった「呪いのビデオ」を観てしまう。2人は貞子に呪い殺される前…

人里離れた山荘でアイテムを合成、スズメバチから逃げるサバイバル小説-『雀蜂』

『雀蜂(スズメバチ)』 貴志祐介/2013年/236ページ 11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺された安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪。通信機器も使…

記念すべきレーベル第1作。赤川次郎が描く小規模なキング風モダンホラー-『忘れな草』

『忘れな草』 赤川次郎/1993年/270ページ 山間の小さな町に住む高校二年の布悠子は、学校からの遺跡掘りの帰りに見知らぬ男を目撃した―。ところが、その日を境に身辺で微妙な異変が起き始め、ゆっくりと迫る何かに怯える布悠子はやがて誰もが信じられなく…