角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

シリーズ傑作巻! あの手この手で心の闇を描く作者の手腕に見惚れる-『こわい本7 闇』

『こわい本7 闇』 楳図かずお/2021年/384ページ 夫婦や恋人など、それぞれの人間が持つ内面の深い闇――。心の中はいつも闇 人間の内面に存在する「闇」をテーマに収録。「闇のアルバム」全24話はブラック・ユーモアやSF、ファンタジーなどオムニバス形式の…

窮地に陥った男の身体に、おぞましき奇跡が起きる。分類不可能な異形作-『化身』

『化身』 宮ノ川顕/2011年/275ページ まさかこんなことになるとは思わなかったー。日常に厭き果てた男が南の島へと旅に出た。ジャングルで彼は池に落ち、出られなくなってしまう。耐え難い空腹感と闘いながら生き延びようとあがく彼の姿はやがて、少しずつ…

ちぎれる手足! もげる首! ひときわバイオレンスな作品が集う-『こわい本6 怪物』

『こわい本6 怪物』 楳図かずお/2021年/368ページ 孤独な破壊者か、 未来を創造する救世主か? 生命をコントロールすることに取り憑かれた博士が創り出した怪物――破壊と暴力に満ちた一夜を描く「恐怖人間」。海辺の村で出会った少年と幼い怪獣が友情を育む…

プロファイリングが示すたった1つの矛盾。FBI帰りの心理分析官vs猟奇殺人犯-『心理分析官』

『心理分析官』 和田はつ子/1998年/301ページ アメリカでFBI研修を終えようとしていた警視庁専属心理分析官・加山知子に至急帰国の命令が届く。捜査が難航する連続殺人事件のためだ。捜査権を与えられた知子は、妊婦を狙う残虐な手口の殺人犯を心理分析…

怪奇アンソロジーのマスターピース作品や、あのシリーズのプロトタイプも収録-『亀裂』

『亀裂』 阿刀田高、高橋克彦、荒俣宏、景山民夫、鈴木光司、綾辻行人、山崎洋子/1993年/268ページ 日常生活の裂け目に潜む極限の恐怖。現代ホラー小説の一つの到達点を示す七人の作家による七つの物語。 (「BOOK」データベースより) 「野生時代」に掲載された…

尊厳と人体奪う解体惨殺魔「バストマニア」vs新人警察官の対決!-『COVER 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』

『COVER 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 内藤了/2019年/352ページ 東京駅近くのホテルで死体が見つかった。鑑識研修中の新人女性警察官・堀北恵平は、事件の報せを受け現場へ駆けつける。血の海と化した部屋の中には、体の一部を切り取られた女性の遺体…

正統派から実験作まで、ベテランから新星まで…。鈍く妖しく輝く現代ホラーのショーケース!-『堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー』

『堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー』 宮部みゆき、新名智、芦花公園、内藤了、三津田信三、小池真理子/2024年/384ページ あらゆるホラージャンルにおける最高級の恐怖を詰め込んだ、豪華アンソロジーがついに誕生。宮部みゆき×切ない現代ゴーストスト…

30周年のフィナーレ開幕。最恐執筆陣の名に恥じない読み応え!-『潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー』

『潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー』 澤村伊智、阿泉来堂、鈴木光司、原浩、一穂ミチ、小野不由美/2024年/398ページ 希望も潰える恐怖がここに。全編書き下ろしの超豪華アンソロジー! 角川ホラー文庫30周年 記念刊行! ――「考えうる、最大級の恐怖を」…

あの有名ゲームを原作者自ら小説化! なぜこんなことになってしまったのか-『弟切草』

『弟切草』 長坂秀佳/1999年/340ページ 弟切草…その花言葉は『復讐』。ゲームデザイナーの公平は、恋人奈美とのドライブで山中、事故に遭う。二人がやっとたどり着いたのは、弟切草が咲き乱れる洋館だった。「まるで俺が創ったゲームそのものだ!」愕然と…

“呪われし子”が巻き起こす惨劇。貞子自身の活躍は地味だがJホラーとしては上々-『貞子 3D 2 ――再誕』

『貞子 3D ――再誕』 後藤リウ(著)、鈴木光司(原作)、保阪大輔・杉原憲明(脚本)/2013年/220ページ 安藤孝則と茜の間に、ひとりの娘が生まれた。それから5年…妻を失って別人のようになった孝則を気遣いながら、大学院生の安藤楓子は幼い姪・凪の面倒をみて…

小説版は貞子が飛び出さないぶん、せめて物語としての深みが欲しかった-『貞子 3D ――復活』

『貞子 3D ――復活』 藤ダリオ(著)、鈴木光司(原作)、藤岡美暢・英勉(原案)/2012年/229ページ 茜が教える女子高では、見ると死ぬという「呪いの動画」の噂が広がっていた。遺体に手の形の痣が残された不審死が続くなか、ついに茜の生徒も不可解な死を遂げる…

遺品の中に紛れる白骨が、絶縁した姉の秘密を物語る。都会の孤独を問うサスペンス-『ルーム』

『ルーム』 新津きよみ/2005年/262ページ 家族と絶縁状態だった姉が急死した。都会でたった一人で生きてきた姉。その部屋の後始末のため、マンションを訪れた友美は、驚くべきものを発見してしまう。それは段ボール箱に入れられた幼児の白骨だった!「いっ…

すべての厨二病は道を開けろ! クトゥルフ×バイオホラー×サイバーパンク×SFアクションのデカ盛り無敵エンタメ-『二重螺旋の悪魔』

『二重螺旋の悪魔(上)』 梅原克文/1998年/512ページ 遺伝子操作監視委員会に所属する深尾直樹は、ライフテック社で発生した事故調査のため、現地に急行した。直樹はそこで、かつての恋人・梶知美が実験区画P3に閉じ込められていることを知る。だが、すで…

悪縁を「終わらせ」る、死と慈悲の救済者。昏く優しい大人のファンタジー-『終わらせ人』

『終わらせ人』 松村比呂美/2011年/256ページ 母の訃報に接しても祈子は動揺しなかった。生後まもなくの祈子を見捨て、連絡を絶っていた人だ。仕方なく遺品整理に出向いた先は圧倒されるほどの立派な洋館だった。邸内にあったパソコンを起動させる。「終わ…