角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

作家と編集の絆が生死を超越した存在に打ち勝つ、闇のクリエイター賛歌!-『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』

『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』 木犀あこ/2018年/288ページ 霊が見えるホラー作家・熊野惣介は、担当編集者の善知鳥の異動話を耳にしてしまう。善知鳥本人からの説明がないまま、ふたりはいつもの心霊取材へ。廃墟の水族館に現れる巨大未確認生物や、温泉に…

ファンタジー・オカルトホラー・サイコサスペンス・SF・ヒューマンドラマを闇鍋にした吉村印の珍メニュー-『そのカメラで撮らないで』

『そのカメラで撮らないで』 吉村達也/2018年/288ページ 「私には、なぜ人の不幸な未来が見えてしまうの?」これ以上考えられないほど最悪の誕生日を迎え、悲しみのどん庭にいた仁美。なんとか立ち直り、カメラマンとして働き始めた矢先、異常な事態に遭遇…

遠い記憶の異世界で、こちら側の現実で、永遠に迷い続ける子ら。郷愁誘う静かな傑作-『夜市』

『夜市』 恒川光太郎/2008年/218ページ 妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だっ…

底辺主人公が陥る巧妙な罠。夢も希望も鎖で縛り付ける胸糞サスペンス-『汚れた檻』

『汚れた檻』 高田侑/2011年/331ページ 小さなプレス工場での単調な作業と上司の嫌がらせに鬱屈していた29歳の一郎は、偶然再会した友人・牛木の会社で、高級犬の販売を手伝うことに。だがやくざのような牛木の父、我が物顔で家にあがりこむ作業員たち―怪…

その都市伝説の呪いは拡散する…! ホラー小説の金字塔に真正面から挑んだ傑作ミステリ-『ずうのめ人形』

『ずうのめ人形』 澤村伊智/2018年/464ページ 不審死を遂げたライターが遺した謎の原稿。オカルト雑誌で働く藤間は後輩の岩田からそれを託され、作中の都市伝説「ずうのめ人形」に心惹かれていく。そんな中「早く原稿を読み終えてくれ」と催促してきた岩田…

最凶怪談「八甲田山」にまつわるエピソードは興味深いが全体的にはややパンチ不足-『怪談狩り 葬儀猫』

『怪談狩り 葬儀猫』 中山市朗/2023年/256ページ 怪異蒐集家が厳選して語り継ぐ、本当に怖い怪談実話集。 コロナ禍の町で、異様な格好の男を目撃した主婦の体験が不思議な「面布」。引っ越したばかりの地で、近所で立て続けに起きた不幸と、その共通点に震…

家庭の隙間に入り込み、崩壊に導く魔少年の正体は? 至高のホラーミステリ連作集-『瑕死物件 209号室のアオイ』

『瑕死物件 209号室のアオイ』 櫛木理宇/2018年/320ページ 誰もが羨む、川沿いの瀟洒なマンション。専業主婦の菜緒は、育児に無関心な夫と、手のかかる息子に疲弊する日々。しかし209号室に住む葵という少年が一家に「寄生」し、日常は歪み始める。キャリ…

魔性の瞳が秘められた憎悪を暴く。全体的な説得力不足が惜しい一作-『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』

『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』 日向奈くらら/2017年/320ページ 二年C組の問題の多さには、呆れますね―教頭の言葉が突き刺さる。また私のクラスの生徒が行方不明になった。これでもう4人だ。私はその失踪にあの子が関係しているのではな…

袋とじで原作と異なる結末が明らかになる! 映画を観た方が早い気もするが…-『映画版 黒い家』

『映画版 黒い家』 原作:貴志祐介 脚本:大森寿美男/1999年/173ページ 生命保険制度と現代日本の抱える根源的な病理に迫った傑作サイコ・サスペンス『黒い家』を「39刑法第三十九条」でも森田芳光監督とコンビを組んだ気鋭の脚本家・大森寿美男がシナリオ…

暴力と社会病理―“誰が読んでも、いつの時代でも怖いもの”を真正面から描いた不朽の名作-『黒い家』

『黒い家』 貴志祐介/1998年/392ページ 若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審…

幼い息子を亡くした一家が、幽霊トンネルで遭遇する悪夢。絶望・希望が混在するラストが秀逸-『ダムド・ファイル 「あのトンネル」』

『ダムド・ファイル 「あのトンネル」』 原案:井川耕一郎、万田邦敏 著:斉木晴子/2004年/216ページ その日、カーナビが示したのは、愛知県北東部の山中にある「伊勢神トンネル」。だが、実際に目の前に現れたのは「伊世賀美」と書かれた古びたトンネルだっ…

グロテスク特化と思いきや、幽霊・ロボット・宇宙人・妖怪も入り乱れる百花繚乱のフリークショー!-『臓物大展覧会』

『臓物大展覧会』 小林泰三/2009年/384ページ 彷徨い人が、うらぶれた町で見つけた「臓物大展覧会」という看板。興味本位で中に入ると、そこには数百もある肉らしき塊が…。彷徨い人が関係者らしき人物に訊いてみると、展示されている臓物は一つ一つ己の物…

過剰なまでのサービス精神に溢れた、格調高くもB級な異形長編-『くらら 怪物船團』

『くらら 怪物船團』 井上雅彦/1998年/328ページ 原因不明の事故で沈没したクルーザーには、恋人が乗っていた。未確認の情報を元に、結城が駆けつけた港町には、異様な現象が起こりつつあった。曲馬団の箱、獣の檻、朽ち果てた道化人形…。奇妙な漂着物を拾…

遊び半分のお見合いに鉄槌を! 黒幕の理解しがたい行動に困惑させられる珍作-『お見合い』

『お見合い』 吉村達也/2001年/262ページ 大好きな史也と結婚する前に、一度だけ「お見合い」というものをしてみたい。満たされた恋で幸せな毎日を送る滝真由子にとって、それは余裕の気持ちが産み出したほんの遊び心。恋人の史也も、笑って賛成してくれた…