角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

陰で暗躍する獣と、陰でしか生きられないけだもの。これぞ乱歩中の乱歩!-『陰獣 江戸川ベストセレクション④』

『陰獣 江戸川ベストセレクション④』 江戸川乱歩/2008年/204ページ 探偵作家の寒川に、資産家夫人、静子が助けを求めてきた。捨てた男から脅迫状が届いたというが、差出人は人気探偵作家の大江春泥。静子の美しさと春泥への興味で、寒川は出来るだけの助力…

20年前の“いじめ”の恨みが爆発する復讐サスペンス…かと思いきや、予想外過ぎる真相に困惑-『卒業』

『卒業』 吉村達也/2002年/180ページ 高校卒業の日、積年の怨みを自殺という形であてつけようと、伊豆山中に死に場を求めた神保康明は、そこで奇妙な老人と少女に会う。「二十年後を待て」それが老人の放ったメッセージ。死を思いとどまった康明は、やがて…

文庫版最終巻にして、メンバーの過去にまつわる話を集めた入門篇。続きはコミックスで-『黒鷺死体宅配便 5』

『黒鷺死体宅配便 5』 原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2009年/174ページ 死体専門のダウジング能力を持つ沼田真古人は、幼いころ、その技術を教えてもらった師匠と再会を果たす。しかしそれは悲しい別れの始まりだった――!? “お届け物は死体です”。死んだ…

SF、伝奇、サスペンス、時代物、中国史…幅広いスタイルで恐怖を描く佳品ぞろい-『したたるものにつけられて』

『したたるものにつけられて 自選恐怖小説集』 小林恭二/2001年/237ページ ふとした出会いから日常が歪み、狂いゆく過程を静かに追う表題作「したたるものにつけられて」。ほか、伝説の女形・沢村田之助の鬼気迫る恋物語「田之助の恋」、世界の終末を描くS…

エピソードのトンデモぶりが極まった傑作巻。あまり死体を宅配してない気もするが…-『黒鷺死体宅配便 4』

『黒鷺死体宅配便 4』 原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2009年/218ページ あいかわらず仕事に恵まれない「黒鷺死体宅配便」のメンバーたちは、村起こしを目的としたミステリーサークル作りのアルバイトをしていた。偶然にもこの村には、40年ほど前に墜落し…

強引極まりないデスゲーム。壮大なオチとゲーム内容との釣り合いが…-『放課後デッド×アライブ』

『放課後デッド×アライブ』 藤ダリオ/2012年/320ページ 「あなたたちはアセンションされました。これから、命をかけたゲームをやってもらいます」クラスで忘年会をしていた高校3年生の啓太たちは、突然不気味な仮面の人物によって体育館に監禁される。ここ…

そもそも死体から依頼を受けてもたいして金にならないのでは? と今さら気づく第3巻-『黒鷺死体宅配便 3』

『黒鷺死体宅配便 3』 原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2008年/188ページ 「頼む、カラダを戻してくれ」……死体からしか聞こえないはずの声が、死ぬ間際のホームレスから聞こえてきた。壊死した腎臓が病院で摘出され、ホームレスは息を引き取った。声はどう…

やっぱり「生きてる人間のほうが怖い」のか。原点に立ち返った粒揃いの1冊-『現代百物語 因果』

『現代百物語 因果』 岩井志麻子/2016年/209ページ ダイヤが原因で滅びてしまった一家。夫が妻に語ったある夏の出来事。後輩に対して威圧的な振舞いを続けた男の末路。混線した電話から小さく聞こえる誰かの会話。欲望に支配された人の心の闇は深い。その…

死体を甦らせてまた殺す葬儀屋VS死体宅配便。死者蘇生能力がニッチな商売に!?-『黒鷺死体宅配便 2』

『黒鷺死体宅配便 2』 原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2008年/218ページ 死体の声を聞き、その依頼に応じて報酬を得る黒鷺死体宅配便。手違いから死刑囚の死体を手に入れた唐津。その死体の望みは、殺してしまった一家の、生き残った子供に会って謝ること…

謎が謎を呼ぶ寒村の因習。土着的なテーマを意外性たっぷりのミステリとして捌く好短編集-『私の骨』

『私の骨』 高橋克彦/1997年/287ページ 実家の床下から偶然見つかった古びた壷。中には朽ち果てた人骨が詰まっていた。そして、その壷には何故か私の生年月日が記されていた。それでは…自分は、いったい誰なんだ。三十数年前の自身の揺るがざる死亡証拠を…

死体にまつわるスペシャリスト達が、死体の最期の望みを叶えます。内容はともかくなぜホラー文庫?-『黒鷺死体宅配便 1』

『黒鷺死体宅配便 1』 原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2006年/253ページ 死体の声を聞くイタコ、死体を探すダウジング、死体修復のエンバーミング、情報収集のハッキング、宇宙人と交信するチャネリング。それぞれ特技をもった仏教大学の学生5人が作った…

怪談同士の有機的な絡み合いが読み応えを増す、実話怪談集として究極に近い1冊-『拝み屋怪談 禁忌を書く』

『拝み屋怪談 禁忌を書く』 郷内心瞳/2016年/293ページ 最期まで優しい母として逝った依頼主、忌まわしき白無垢姿の花嫁、昵懇の間柄だったひと、心に怪物を抱えた女――。四人の女性の存在と彼女たちとの顛末を中心に、現役の拝み屋が体験・見聞した最新怪…

悪ふざけギリギリのアイデアに満ちた、笑いに特化したホラー短編集-『夏合宿』

『夏合宿』 瀬川ことび/2001年/206ページ 中学二年生の俊輔は、たったひとりで剣道部の合宿へむかうところだった。夏期講習に参加したため、みんなと一緒に出発できなかったのである。合宿先は毎年恒例の、貸し別荘が点在する避暑地だったが、剣道部が借り…

幽霊なみに話が通じない、理解不能・コミュニケーション不能な人間の恐ろしさ!-『現代百物語 妄執』

『現代百物語 妄執』 岩井志麻子/2015年/224ページ 刑務所で病に伏せる罪人に高額な医療費を送りつける逆・死神。古書店で入手した一般人の日記帳に綴られた壮絶な書き込み。ファンから著者に贈られた鍵と簡素な地図。女性ライターの股間に憑いたインチキ…